人気ブログランキング | 話題のタグを見る

風花 kaza-hana

風花 kaza-hana_c0117287_10402615.jpg


酔っ払ったはずみで万引き事件を起こし、謹慎中のキャリア官僚の男。
死別した夫の借金を返済するため、娘を故郷に預けてピンサロで働く風俗嬢。
性格も生活もまったく異なるふたりが偶然出会い、
彼女の故郷・北海道へとともに赴いていくロードムービー。
恋愛感情が芽生えているのかどうかも定かではない両者の曖昧な交流から、
不思議とせつなく愛しい感情が醸し出されていく。

風花は、まるで消えるために降っているような儚い雪。
二人の持つ心に負った傷や闇、お互いに話すこともなく隠すこともない。
けれど一緒に旅をすることで相手の痛みと自分の痛みが溶け合ってゆく。
目的があるのが「旅行」そして帰る場所があるのが「旅行」であるなら、
目的もなく、帰る場所を失くした二人のこれは本当の「旅」。
どこにも帰ることも出来ず、「死」さえ現在よりは癒しに思える旅。
観ているうちに、どんどん苦しくなって呼吸さえ出来なくなるほどでした。
せつなくてたまらなかった・・・。
はっきりとした恋愛が描かれている訳ではなく、
お互いを「愛している」と思っている訳でもないのに。
一緒に酒を飲んで、食事をして、あてのないドライブを続けるだけ。
悪態をつき合いながら。
それでも二人の「今」にはどうしても必要なひとだった。
何もかも失おうとして、捨てようとして
そして最後の最後にやっと見えた小さな小さな光。
泣きました。
ドラマティックを求める人にはパッとしない映画かもしれないけど
何かを抱えている人には本当に心に沁みる映画です。

小泉今日子姉さんがハマりきっていて秀逸。
彼女もいつも元気そうに見えるけど、いろんなことを抱えている人のような気がする。
それが演技以上のものにしていたような気がして仕方ない。
最初からずっと煙草を吸ってばかりいるのですが、これがまた似合い過ぎ。
どうせ吸うならこれくらいカッコ良く吸いたいものだ。
浅野忠信もダサくて優柔不断の男役が上手かった。
だんだんカッコよくなって来る感じが良かったし。
彼も大人のいい男になりましたねー。

  by pastellight | 2007-05-11 10:41 | 映画(邦画)

<< ニライカナイからの手紙 ハル >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE